STORY 1&Dストーリー
近年2016-2025
2016年、外食部門を運営するワン・ダイニングと小売部門を運営するダイリキを100%子会社として、相乗効果を狙うべく「1&Dホールディングス」を発足。代表取締役社長には髙橋淳が就いた。ワン・ダイニングは関東や九州へとエリアを広げるとともに、「ひとりカルビ1965」など新業態を開発。ダイリキでは、精肉店Dairikiに焼肉イートイン「ひとり焼肉」や、出来立て焼肉弁当のテイクアウト「日常肉飯」を併設。内食・中食・外食を融合させた複合型店舗をスタート。世界を未曾有の危機におとしいれた新型コロナウィルス感染症の流行を、「価値ある経営」の徹底で力強く乗り越え、さらにたくましい姿となり、いま60周年を迎えようとしている。
「人」と「安全安心」を最優先に
コロナ禍を乗り越え、未来へ。

2020年初頭、世界中が未曾有の危機に直面した。新型コロナウィルス(以下コロナ)の感染拡大である。外食産業が大打撃を受ける中で、ワン・ダイニングも例外ではなかった。2020年4月15日から5月6日まで、全店舗休業。2ヶ月間で赤字は10億円を超え、かつてないほどの痛手を負った。いったいいつ収束するのか。
先は見えなかったが、代表取締役社長の髙橋淳は、政府よりも先に「アルバイトも含めて全員休業補償する」と宣言。厳しい財政だが、なによりも人が大切という哲学があってこその決断だった。
営業が徐々に再開される中、新たに「CQS経営」を打ち出した。今までのQSCではなく、まずクリンネスありきで安心とともにクオリティ、サービスを提供するという考え方に変えた。事業ではデリバリーやテイクアウト、ランチなど新サービスや新業態を次々にトライしながら、この災いが収束するのを待った。
そうしてコロナが落ち着きはじめたころ、ワン・ダイニングはいち早く業績を回復、そして成長へと移行した。回復のキーとなったのは、やはり人財。多くの同業他社は人財が一度離れてしまったために、採用・育成からやり直しとなり時間がかかったが、雇用をしっかりと守り続けたワン・ダイニングは人財も充足しており、回復期のスムーズな立ち上がりが可能だったのだ。
一方ダイリキはコロナが落ち着いて以降、円安やウクライナ情勢、アメリカの物価高騰などの影響で、精肉は厳しい状況が続いてきた。ただそんな中でも、肉という強みを徹底的に磨き込み、焼肉弁当、ミールキットといった新商材の開発や一人焼肉といった新業態開発などを実施。単なる精肉販売だけでなく、クッキングカテゴリーを充実させることで新たな活路が花開きつつある。
髙橋淳はいう。「コロナ禍を経て、従業員との結びつきや教育体制もより強固になり、現在のインナー採用の活性化へとつながっている。以前は時間がかかっていた新業態や新商品開発も、チャレンジするスピードがグンとアップした。災い転じてより強い企業基盤ができたのではないか」。コロナという大嵐を乗り越えられた根底にあるもの。それは、今はなき髙橋健次が策定した「価値ある経営」という理念。お客さまから必要とされる店、社会から必要とされる会社、仲間から必要とされる人であり続ければ、どんな逆境であっても、その存在意義は決して揺らぐことはない。